第8回フォーラム及び自立研アワード2011の開催報告
11月21・22日に名古屋のウィンクあいち(愛知県産業労働センター)にて、
自立循環型住宅研究会 第8回フォーラムを開催し、会員・一般参加者合わせて73名の方に
ご参加頂きました。
初日の第1部では昨年に引き続き、住宅技術評論家の南雄三さんより
「省エネ2011をふりかえる」「パッシブを活かす暖房を考える」をテーマに
基調講演をして頂きました。
東日本大震災後に南さんが情報収集整理された、
ライフラインが断たれた時の建物断熱性能と室温低下の実態調査の話からはじまり、
省エネ基準義務化に対する考えや省エネ施策の流れ、海外のエネルギーパスの話など、
時間いっぱい盛り沢山の講演でしたが、いつもながらユーモア溢れる南節の効いた講演で、
あっという間の1時間半でした。
続いて行った今年の新企画 PassiveDesignクイズコンペ は、
「省エネ・エコ住宅設計究極マニュアル」から温熱環境省エネルギー設計に関係する問題が
1問15秒のタイムリミット付きで40問ひたすら続く、苦行のようなレクリエーション?でした。
そんな中でも見事好成績を収めた、
辻さん(森林文化アカデミー)、中野さん(胡桃設計)、野坂さん(エヌテック㈱)、渡邉さん(㈱建築工房わたなべ)、松田さん(イビケン㈱)
の5名には「本当にすごいエコ住宅つくる方法(著:野池政宏、米谷良章)」が賞品として贈られました。
第2・3部は自立循環型住宅研究会アワード2011の応募内容のプレゼンテーションを
9名の応募者の方に行って頂きました。応募タイトルと応募者は下表の通りです。
エントリーNo./タイトル/応募者
1/パッシブデザインを意識して「志摩の家」 /空設計工房
2/はすそら鍼癒院+M邸 温熱改修の効果実証 /MOK-msd
3/ジオプロロード(空気直接熱交換方式)の性能評価とこれからの展開/工藤建設株式会社
4/南禅寺の家@平成の京町家の取組み /トヨダヤスシ建築設計事務所
5/堺パッシブハウスにおける パッシブデザインの実践と夏対策の検証/なちゅらる・さーかす
6/環境家計簿を用いた 住まいのエネルギー使用量把握とその考察/エコワークス株式会社
7/Forward to 1985 小住宅をめざして /株式会社ハイホームス
8/既存住宅における温熱改修促進ツールの提案 /森林文化アカデミー木造建築スタジオ
9/住宅再生工房の取組みについて 生活改善リフォームの事例発表/株式会社エヌテック
プレゼンテーション25分の持ち時間の中で、各社の様々な特徴的な取り組みを
発表して頂きました。その内容は新築・改修事例発表から、とても多くのOB物件の
エネルギー消費量実態調査分析、省エネ改修促進ツールの提案等、非常に幅広くて
バラエティに富んだ内容でした。
全ての発表内容に対しては参加者からの質疑応答や審査委員長の野池さん、
ゲスト審査員の南さんからの質問とコメントを頂き、また参加者全員が書いた
コメントシートも渡され、発表者にとっても得られたものも多かったのではないかと思います。
また参加者にとっても、建築実務の中で参考にして頂ける情報や手法など、
興味深い情報もいろいろとあったと思います。
第4部は毎回恒例の、発表物件毎にグループを作って意見交換を行うことで
理解を深めるワークショップを行い、その後、各グループにその内容を発表して頂きました。
その後、事務局連絡として今年の自立研活動報告で、東京で行われている関東ゼミの報告と、
今年度末頃発表を目指して製作中の温熱環境省エネシミュレーションソフトの概要紹介、
今年の収支決算予定の報告を行いました。
そして最後に、今年の自立研アワード2011の発表と表彰を行いました。
自立研アワードは参加者全員の各1票とゲスト審査員の南さん及び審査委員長の野池さんの各10票の投票結果
で各賞を選出する方法を取りました。
その結果は次の通りです。
☆☆☆最優秀賞☆☆☆
『環境家計簿を用いた 住まいのエネルギー使用量把握とその考察』
エコワークス株式会社 山下大輔
☆☆優秀賞☆☆
『南禅寺の家@平成の京町家の取組み』
トヨダヤスシ建築設計事務所 豊田保之
☆野池政宏賞☆
『Forward to 1985 小住宅をめざして』
株式会社ハイホームス 太田治幸・小板橋直記
☆南雄三賞☆
『既存住宅における温熱改修促進ツールの提案』
森林文化アカデミー木造建築スタジオ 中島創造
エコワークスさんは、会社をあげての省エネに対する真摯な取り組みにより、
多くの貴重なデータの収集と分析がされていることが参加者の共感を得て
見事に最優秀賞を受賞されました。
自立研アワードの創設からの毎回挑戦されているトヨダヤスシ建築設計事務所の豊田さんは、
僅差でおしくも優秀賞でしたが、
南さんからは「完璧で何も言うことがないから豊田さんレベルになったらアワードに出ては駄目だよ」と言われるほど。
また、野池政宏賞と南雄三賞と授賞した両者もとても特徴的な取り組みで面白い内容でした。
今年のアワードの副賞は、昨年に引き続き会員のエーデルジャパン株式会社様より外付けブラインド「ヴァレーマ」30万円相当と
同じく会員の積水化学工業株式会社様より断熱材「フェノバボード」をなんと新築用と断熱改修用の2賞分
そして、新たに株式会社CPU 様より住環境シミュレーションソフト「MadricEcoNavi」30万円相当
をご提供いただき、それぞれアワード受賞者に贈呈されました。
今回で3回目となった自立研アワードは
多くの方のチャレンジ精神溢れる応募と発表、そしてそれを真剣に聞く参加者の皆さん、
副賞を提供頂いた会員企業の方のおかげで今年もとても有意義な時間となりました。
来年の自立研アワードもより多くの方に係わって頂き、
自立研の存在と活動意義を多くの方に伝えていきたいと思いますので、
今後も皆さんに積極的に自立研の活動に係わって頂きたいと思います。