第12回フォーラム及び自立研アワード2015の開催報告
10月7・8日に京都テルサ(京都府民総合交流プラザ)にて、
第12回自立循環型住宅研究会フォーラムを開催し多くの方にご参加頂きました。
初日の第1部では自立循環型住宅開発プロジェクトに携わられている
三浦尚志氏 (国土交通省国土技術政策総合研究所住宅研究部建築環境研究室)
に基調講演をしていただきました。
現在の研究活動に至る経緯や普段どのような研究をされているのかというお話から、
今後の研究として現在の外皮性能計算では評価できていない開口部付属部材や隣棟との関係、
木質燃料暖房に関することなどのお話をして頂きました。
また、講演時間の半分を質疑の時間にして、参加者からの質問や興味のある内容に応じて
面白く有意義なお話をして頂きました。
続いて、1日目の第2部、2日目の第3・4部で
自立循環型住宅研究会アワード2015にエントリー頂いた
各社の実物件の評価・実測・分析内容をプレゼンテーションしていただきました。
今年は9件のエントリーを頂き、その内容は下表の通りです。
エントリーNo./タイトル/応募者
1/ あかつきの舎 ~暮らしと省エネ~ / MOK-MSD
2/ 「八幡の家」夏の計測から見えること / 株式会社 イトコー
3/ 快適で省エネを目指したリーフォームシミュレーション / U❁TASTE 有限会社 梅村工務店
4/ 豊中・K邸 ~25年目の改修~ / MOK-MSD
5/ アトリエ・コ・ラボの取組と⼤熱容量RC外断熱住宅の分析 / 安井建設株式会社 アトリエ・コ・ラボ事業部
6/ 三河の大工が造る全館冷暖房住宅 温度差の無い家の挑戦 / 有限会社 原田建築
7/ パッシブソーラーシステムを採用したゼロエネルギー住宅の検証 / 株式会社 和工務店
8/ 断熱リフォームの計算と実測 / MOK-MSD
9 / 木造住宅におけるデザインコンクリート・CBの蓄熱容量の分析 / 安井建設株式会社 アトリエ・コ・ラボ事業部
プレゼンテーション25分の持ち時間の中で、各社の様々な特徴的な取り組みを
発表して頂きました。その内容は新築や改修事例発表、木造やRC造など、
幅広くバラエティに富んでいました。
全ての発表内容に対しては参加者からの質疑応答や審査委員長の野池さん、
ゲスト審査員の三浦さんからの質問とコメントを頂き、また参加者全員が書いた
コメントシートも渡され、発表者にとっても得られたものも多かったのではないかと思います。
また参加者にとっても、建築実務の中で参考にして頂ける情報や手法など、
興味深い情報もいろいろとあったと思います。
自立研アワードは自社物件を改めて評価・分析する機会になり、またプレゼンテーションの
よい練習の場になるからと、昨年最優秀賞を受賞されたMOK-MSD 三澤文子さんの事務所では
毎回スタッフさん全員からのエントリーを頂いています。
そして今年は自立研・1985地域拠点・野池学校・パッシブデザイン協議会などに参加している
メンバーにより中部で立ち上がった
COME house Lab (Comfortable and Minimum Energy House Laboratory)中部ネットワークから
5社エントリーを頂き、団体を越えた仲間で集まり切磋琢磨し各社の設計力・技術力を高めていく
動きができてきました。
今後も各地域で、同じ地域特性を共有する工務店・設計事務所が集まって
この様な活動が広がっていき、皆さんで来年のアワードにエントリーして頂けると嬉しいです。
第5部はグループを作って、各発表物件を題材にした意見交換ワークショップを行いました。
プレゼンテーションでは触れられなかったより突っ込んだ質問や、具体的な状況などを共有し
様々な視点から理解を深める時間となりました。その後、各グループにその内容を発表して頂きました。
そして最後に、今年の自立研アワード2015の発表と表彰を行いました。
自立研アワードは参加者全員の各1票とゲスト審査員の三浦さん及び審査委員長の野池さんの
各10票の投票結果で各賞を選出する方法を取りました。その結果は次の通りです。
☆☆☆最優秀賞☆☆☆
『断熱リフォームの計算と実測』
有限会社MOK-MSD 日野弘一
☆☆優秀賞☆☆
『パッシブソーラーシステムを採用したゼロエネルギー住宅の検証』
株式会社和工務店 夏目信幸
☆☆優秀賞☆☆
『三河の大工が造る全館冷暖房住宅 温度差の無い家の挑戦』
有限会社原田建築 原田稔・鈴木宏規
今年のアワードの副賞は、
会員の積水化学工業株式会社様より断熱材「フェノバボード」を新築1棟屋根分
株式会社FANFARE 様より木造戸建住宅用温熱・省エネ統合計算プログラムEnergyZOO
当研究会より、省エネ・パッシブデザインに関する書籍一式
をご提供いただき、アワード受賞者に贈呈させて頂きました。
今年も多くの方のチャレンジ精神溢れるエントリーと事例発表、
そしてそれを真剣に聞く参加者の皆さんと副賞を提供頂いた会員企業の方々のおかげで
もとても有意義な時間となりました。
来年の自立研アワードもより多くの方に係わって頂き、
自立研の存在と活動意義を多くの方に伝えていきたいと思いますので、
今後も皆さんに積極的に自立研の活動に係わって頂きたいと思います。